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由無し事をたまに綴るブログです。

コロンビア出張記録

コロンビアのカルタヘナ (Cartagena) で開催された、LARIM (Latin American Regional IAU Meeting) という研究会に参加してきました。

フライト

Avianca航空でBogota乗換えの経路 (AV98, AV8558) です。AV98についてはビジネスクラス有料アップグレードした旨を別記事にしています。定刻通りにBogotaに到着。この先はColombia国内線なので入国審査を受け、国内線のターミナルへ延々と歩いて乗り継ぎます。Cartagenaまでは1時間30分ほどのフライト。上空からはハリケーンMatthewによる洪水の様子が窺えます。

CartagenaのRafael Núñez空港では雨の中タラップを降りてターミナルへ。ATMでコロンビアペソを引き出し、タクシー待ちの列に並びます。

タクシー

CartagenaにはServicio Publicoと記載された黄色いタクシーが至る所を走っていて、簡単に乗れます。料金は乗る前に一応確かめますが、空港から市内まではCOP 15,000(約600円)などと決まっていて、ボッタクリには合いませんでした。ただし運転はチリ以上に荒いですし、車もあまり整備されているとは言い難いので、怖いです。後部座席に乗るとシートベルトを留める金具がありません。これに気付いてからは助手席に乗ってシートベルトを締めるようにしました。

通貨・物価

コロンビアペソ (COP) は、1 USD = 3000 COPくらいのレートでした。1円 = 25 円くらいの感覚です。物価は総じて安く、ペットボトルの水は1500 COPくらい、食事は安いところで15000 COP、高くてもせいぜい30000 COPで済みました。

宿代は朝食付きでCOP 220000/night でした(ただし初日は浸水のため予約したホテルに泊まれず、140000のところに割り振られました)。

Cartagena

世界遺産に登録されている観光地で、旧市街は趣のある街並みです。コロンビアは治安が心配でしたが、Cartagenaは至るところに警備員が立っていて、命にかかわる犯罪のリスクはあまり感じませんでした。普通にiPhoneを片手に歩いている人も多かったです。写真のように、手作り感満載のベランダが歩道の上にせり出している建築物が多く、その下を歩くのはちょっと怖かったです。


初日に泊まったHotel Barahonaはカリブ海に面したビーチサイドにあります。普段は穏やかなカリブ海も、ハリケーンのせいで荒れていました。

2日目からは旧市街にあるホテルCasa Realに宿泊。研究会の会場まで歩いて5分ほどの場所です。室内にこんな電話機のあるレトロな部屋です。

少し北に歩けば、海岸に沿った城壁に立ってカリブ海を眺められます。

研究会

Convention Centerのplenary hallといくつかのセミナー室で開催されました。港湾に面した大きな会場で、他の研究会も同時に進行していました。
まあ盛況でした。IAUの研究会ですから発表は当然英語…と思っていたら半数近くの発表者はスペイン語で話していました(スライドは英語ですが)。さすが南米。

特筆すべきは提供されるコーヒーの美味しさ。さすがコロンビアです。ポットの受け皿にコーヒー豆を使うなど、コーヒー産出国らしい演出です。

研究発表のレベルは玉石混交で、系外惑星探査や銀河進化などで非常にレベルの高い講演があったかと思うと、「これでプロなの?」と首をかしげたくなる発表もあったりして、大変面白かったです。
ポスターを貼るボードは段ボール製で手作り感満載でした。ボードにポスター番号など割り振っておらず、「自由席」で早い者勝ちに好きなボードに貼ってよいというのが、南米らしい気がします。

自分の発表はALMA拡張アレイの口頭発表とALMA観測結果のポスター発表。ですがアドホックに南米でのVLBI計画についてのワークショップが催され、ALMA拡張アレイ計画については2回話すことになりました。まあ聞いてくれる人が多い方がよいので良かったです。

水害と停電

到着した10月2日はハリケーンのため街の至る所が冠水し、海も荒れていました。予約していたホテル Casa Real にチェックインしようとすると、「部屋が水浸しになったので今日は泊まれないから、別のホテルに行って」と言われ、Hotel Barahona というホテルを案内されました。

木曜日の夕方には市内が停電になりました。Cartagenaの人々は停電には慣れているようで、自家発電で営業しているレストランもいくつかあったので夕食はそこで摂ります。ホテル Casa Realには自家発電はなく、廊下にロウソクの灯火があるだけで部屋は真っ暗になりました。当然エアコンは使えませんので蒸し暑いですが、風邪を引いて寒気がしていたのでちょうどよかったかもしれません。冷蔵庫の霜が融けて床が濡れるのには閉口しました。シャワーからお湯が出るので、懐中電灯を灯してシャワーを浴びました。翌朝になっても停電は復旧せず、チェックアウトしようにもクレジットカードの支払いができないので、自家発電で動いているATMまでフロントのお兄さんと一緒に行って、3回にわけて現金をCOP 900000おろし、支払う事ができました。

天災にも人災にも遭遇しましたが、大きな混乱はありませんでした。コロンビアの人達は適応しているようです。

国民投票

到着した日はちょうど、和平合意めぐる国民投票が実施された日でした。コロンビアでは永年に渡って、政府と左翼ゲリラFARCとの間で内戦状態になっていたのですが、サントス大統領がFARCとの間に停戦の和平合意を結び、この和平合意を国民投票に諮っていたのでした(到着するまで全く知りませんでした)。
ホテル近くのピザ店で夕食を摂りながら開票速報の番組を眺めていましたが、結果は反対票が50.24%ということで僅差で否決。和平合意がFARCに譲歩しすぎだという批判が強かったようです。
この国民投票の1週間後には、サントス大統領にノーベル平和賞が授与されることが決まりました。FARCと停戦にまでこぎ着けた功績を讃えるだけでなく、国民投票で否決された和平合意を応援する意図もあるのかもしれません。
偶然、コロンビアの歴史的な場面に立会うことができました。

行ってみるまでは不安の大きいコロンビアでしたが、何とか無事に戻ってこれました。もう一度行きたいかと問われると…うーむ、何か大切な用事があれば行きます。