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由無し事をたまに綴るブログです。

幼稚園で土星観望会

何かの縁で、7月20日にS幼稚園の園児たち約40人に望遠鏡で星を見せることになりました。幼稚園児がまとまって夜間に望遠鏡で星を見る機会は、年に一度の「お泊まり保育」に限られます。対象天体はもちろん土星。曇りとにわか雨の合間にわずかに晴天がのぞく変わりやすい天気に翻弄された観望会の記録です。

観望会には学生4名がサポートに入ってくれました。まだ薄明の残る19h30m頃に望遠鏡を園庭に運び込み、設置作業を進めます。雲量が多いけど、雲間からアークトゥルスが見えたりしているので少し希望が持てます。セットアップが完了した頃、園児たちは花火で大はしゃぎ。サポートの学生たちも園児の歓声に「かわいいー」と楽しんでいる様子です。

いよいよ園児たちが望遠鏡を先頭に並びます。まだ土星は雲の向こうなので、用意してきたiPadとプロジェクターで土星の話や望遠鏡ののぞき方など、間を持たせます。
やっと雲間に土星が見えたので、すぐに導入して倍率を最大に。よく見えるのでこれなら大丈夫。でも、列の先頭の園児に見てもらったところ、
「見えない!」
「えー、見えない?」
「見えないよ」
「ちょっと見せてみて」
あれ、視野に導入したはずの土星が外れて、確かに見えません。コントローラーを操作してもう一度視野の中心に土星を入れてから園児に代わると、
「見えない!」
またもや視野から外れています。眼をアイピースに押し付けて望遠鏡が動いてしまったのかと思い、
「眼を望遠鏡に押し付けないでね」
と注意してから視野の中心に導入するのですが、確かにみるみる視野中心からずれていきます。極軸のずれでは説明できない速さで視野から外れて行くのはおかしいです。ここで、コントローラーの赤経方向のボタンを押したときに、土星の短軸方向に動くことに気付きました。
「あっ!モータードライブの赤経赤緯の接続が逆だ」
赤経の制御ケーブルを赤緯軸に、赤緯のケーブルを赤経軸に接続するというミスを犯していたのでした。道理で追尾しないわけです。園児が望遠鏡を動かした訳ではありませんでした。ごめんね。

しかしケーブル接続を正しくし直したはずが、今度は赤経軸のモーターが動きません。接触不良のようです。何度かコネクターを差し直したのですが動きません。接続を逆にしたことで、故障したのでしょうか?園児たちを待たせてだんだん列が乱れてきたので、仕方なく追尾をあきらめ、低倍率で見てもらうことにしました。
今度は園児から「見えた!」の声。しかし先頭の2人が見たところで無情にも雲が。園児たちもしびれを切らしているようです。

こんなときのために用意してきたブラックホール模型を、ここで投入。列から見えるようにブラックホール模型にビー玉を転がして落とします。しかし園児たちが列を崩してビー玉に殺到してしまいプチパニックに。仕方なく一旦ビー玉を引き上げ、もう一度望遠鏡に並ぶように伝え、列の先頭から一人ずつビー玉を渡しつつ、学生にブラックホール模型を持って列の先頭から順番に転がしてもらう方式にしました。名付けて「さまよえるブラックホール作戦」。これが功を奏して園児たちが落ち着いてきました、
肝心の土星は見えないまま、やがて雨が落ちてきました。仕方なく撤収です。ほとんどの園児たちは土星をみることができず、ブラックホール模型で遊んだだけになってしまいました。残念です。

幼稚園の先生たちからは感謝され、ポカリスエットのボトルを謝礼として頂きましたが、園児たちに土星を楽しんでもらうという目標は達成できず、悔いが残ります。以下、反省点を列挙
・40名に対して望遠鏡1台は少なすぎたかも。2台用意していればよかった。
・40名を望遠鏡に列で待たせるのでなく、教室で待機してもらいながら10名ずつくらい望遠鏡に来てもらう方が良かった。
・モータードライブの接続ミスでモタモタしたため、せっかくの晴れ間を活かせなかった。
ブラックホール模型を用意したことはよかったけど、使い方が問題。教室で待機してもらい、そのときに遊んでもらえばよかった。

ただ望遠鏡で星を見せればよいと甘く考えていました。園児に楽しんでもらうって、事前の準備を相当しっかりやらないといけないのですね。普段、園児たちを指導してくださる先生たちの力量を、あらためて認識しました。