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由無し事をたまに綴るブログです。

リモコンを使って日食観測グラスを簡易チェック

5月21日の金環日食、6月6日の金星の日面通過など、多くの人が太陽を観察する機会が迫っています。肉眼で直接太陽を見ると失明の恐れがありますので、「太陽グラス」を使って減光し眼を守ることが大切。黒い下敷きや写真ネガフィルムなどでは不十分で、ちゃんと太陽観察を謳ったフィルターを用いるべきです。写真ネガフィルムは可視光は遮光するけど、熱を伝える赤外線は透過するので、網膜がやけどする恐れがあるのです。赤外線が透過する様子を、リモコンとデジタルカメラを使ってチェックしてみましょう。

警告:この記事は定量的な計測をしていません。この記事にある赤外線遮光テストをパスしても、より短波長の赤外線の透過率はわかりませんので「安全」とは言い切れません。この記事は太陽観察の安全に関して責任を負いません。

テストに使うもの

  • リモコン

NECシーリングライトのリモコンRL32を使用しました。赤外線LEDがむき出しになっているので、発光の様子が分かりやすいです。仕様は明確でないですが、この手のリモコンは波長940 - 950 nmあたりで発光します。肉眼では見えません。

iMacに搭載されているiSightカメラを使用しました。PhotoBoothというOS付属のアプリケーションで動画撮影しました(撮影しなくてもモニターで確認できます)。リモコンを直接カメラに向けてボタンを押すと、リモコン発光の様子がわかり、カメラがこの波長に感度を持つことがわかります。なお、リモコンが赤外線で発光するのはボタンを押した一瞬です。

テストしたもの

アイソテック(株)製:世界天文年2009でセレクトされた商品。380円。EU 89/686規格, JIS T-8141準拠だそうです。メガネ形状のもの。

株式会社アーテック製。コープ鹿児島で398円で購入。DIN規格EN169 遮光度番号13番使用と記載されています。ガラス製ゴーグルタイプ。

  • 写真ネガフィルム

現像したカラーネガフィルムの、感光して黒くなった部分をテスト。肉眼では十分遮光しているように見えます。

テスト結果

  • アイソテック「太陽日食メガネ」

リモコンの赤外線を遮光しており、透過光をカメラで捉えることができません。

  • アーテック「太陽グラス」

これもリモコンの赤外線を遮光しています。

  • 写真ネガフィルム

フィルムを通してリモコンが光っている様子がわかります。この写真ネガフィルムでは赤外線を十分に遮光できないため、太陽観察の遮光には不十分です。

まとめ

家庭にあるリモコンとデジカメで、赤外線の遮光を簡易チェックできることが分かりました。ただし、リモコンの赤外線波長を遮光しても、より短波長を透過している可能性もあるので、このチェックだけでは「安全」とは言い切れません。しかしこのチェックでリモコンの赤外線を透過するフィルターは、太陽観察には不適切ということは分かります。日食観察に当たっては、信頼できるメーカーが「太陽観察用」として販売しているものを使いましょう。