Kameno external storage

由無し事をたまに綴るブログです。

LRGB合成に挑戦

R60フィルターを入手して、天体写真のLRGB合成に挑戦してみました。まぶしい天の川に埋もれる淡い散光星雲を写し出すのに効果的です。手作業でやるのが嫌いな怠け者ですので、スクリプトで自動処理できるようにしました。

天の川に沿って点在する星雲は水素原子のHα輝線 (波長656.28 nm) で赤く輝いて、天体写真に彩りを与えてくれます。しかし星の光に埋もれてしまいがちなので、Hα輝線を強調するために赤いフィルターを使って撮影し、LRGB合成するというテクニックがあります(例えば「デジタル星野写真撮影記」で詳しく解説されています)。私もこの方法を試してみました。

材料
  • フィルター:Hαを通して星の光をカットするのにはR64フィルターがよく使われますが、Hαの透過率が高いHOYA R60フィルターを使ってみました。
  • カメラ:Fujifilm X-M1です。長波長側の感度が比較的高く、Hα輝線も写ります。
  • 合成ソフトウェア : imageSynth.R にLRGB合成の機能を加えました。
試験撮影


ノーフィルターの写真です。X-M1をISO3200, 30秒露光で撮りました。レンズはAi Nikkor 50mm F1.4 → 2.0 です。

こちらはR60を使った写真です。条件は同じですが、長波長ですのでフォーカスを∞から若干手前側に調整します。

ソフトウェア合成


ノーフィルターの写真を9フレーム合成したものです。これでもよいのですが、天の川の星が明る過ぎて淡い星雲が埋もれます。

R60を使った17フレームをLチャンネルとして加えたものです。天の川の星が相対的におとなしくなります。

LRGB合成した結果を元に、Photoshopで色彩を強調したものがページトップの写真です。あえてケバい色彩にしていますが、アンタレス付近の淡い星雲と、天の川の星や暗黒星雲を表現できるようになりました。
残る課題は、色彩調整を自動化して市販のソフトウェアを使わずに済ませることですね。