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由無し事をたまに綴るブログです。

GPIFは奨学金ファンドへ投資を

GPIFは新たな運用先として、投資型の奨学金ファンドを設立してはいかがでしょうか、という提案です。年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)2015年度運用実績は、5兆3098億円の損失だそうです。資産の半分を債券, 半分を株式で運用していて、損益の浮き沈みがあるのは当然のことですから、一喜一憂してもしかたないことです。ですが、マイナス金利で資金がだぶつき気味の市場に投資するより、明確に資金需要があり伸びしろの大きい学生への奨学金に投資した方が、資金が活きるように思います。


d:id:kamenoseiji:20160604 にも書いたように、学生への奨学金給付を貸与型でなく投資型にすることで、学生は破産の心配なく利用できます。投資した資金は、利用者が年収に比例した「配当」として投資元に還元することで回収でき、プラスの収益が期待できます。

GPIFが奨学金ファンドへ投資ことで、GPIF・奨学金を給付される学生・年金受給者の三者共にメリットがあります。

GPIFにとって奨学金ファンドへの投資は収益がプラスになる案件

たとえば奨学金利用者による配当を、上場企業の配当利回りと同程度の2%とします。生涯年収を平均2億5千万円とすると配当総額は500万円ですので、奨学金の平均利用額299万円を上回ります。さらに、高等教育を受ける学生が増えることは、将来年金を支える働き手が増えることにも結びつきます。

奨学金を受ける学生は無借金で学べる

学生支援機構の「奨学金」は実態としては教育ローンであり、利用するには返済計画が必要です。しかし卒業後に得られる収入を個人の単位で予測するのは難しく、低収入となって奨学金破産するリスクもあります。一方、投資型奨学金ファンドであれば、配当は年収の高い人ほど多額になる一方で、年収の低い人は負担が少なくて済みますから、奨学金のせいで破産することはありません。

年金受給者の受給額が安定する

GPIFの収益がプラスになることで受給額が安定しますし、奨学金で学びの機会を得た学生が働き手として社会で活躍することは年金生活者の支えになります。

現在の年金は、働き盛りの世代が収める年金で高齢者を支える構造になっており、少子高齢化によって人口が逆ピラミッド型になると破綻することが、ほぼ常識といってよいほど指摘されています。GPIFによる奨学金ファンドは若い世代に資金を受け渡す、より未来志向の方策です。しかも相続とは違って、家系による格差を拡大させることはなく、社会の階層化を防ぎます。

GPIFが奨学金ファンドへ投資するには、GPIF自身が運用を弾力化するだけでなく、奨学金受給者の年収をGPIFが把握できるよう法律の整備なども必要になるでしょう。成長戦略を求められる政府や立法府の方針として、ぜひご検討いただけないでしょうか。