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由無し事をたまに綴るブログです。

コロナ禍での日本一時帰国 (1) : SCL→AMS→NRT

新型コロナウィルスによるパンデミックの状況下、チリでは2020年3月3日に初の感染者が確認され、入国制限や国境閉鎖など水際対策措置が執られたものの収まることはなく、3月18日に非常事態宣言が発令され自宅からの外出が禁止されました。ALMAの運用も止まり、3月以降自宅勤務が続いていました。私の住むLas Condes区は比較的感染の収束が早く、7月28日よりphase 2 (平日昼は外出可) に移行し、さらに9月2日からphase 3 (休日も含め昼は外出可) に緩和されました。とはいえ在宅勤務は続いたままで、自宅でできる研究は進められますがそれも限定的です。そこで思い切って、9月25日から11月5日の日程で、共同研究者の居る日本に出張することにしました。
この記事は、コロナ禍においてチリに滞在している日本人が日本に一時帰国する際の経過を記録するものです。もちろん状況は流動的ですし、この行動が感染リスクに見合うものかどうかは微妙なところです。この記事を参考にされる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで一例としてお読み下さい。

 航空券の手配

世界的なコロナ禍で国際線はどこも運航停止や減便しており、チリから日本へ到着できるルートは少ないです。最初はANAでSCL (サンティアゴ) - JFK (ニューヨーク) - NRT (成田) というルートを予約したのですが、SCL - JFKを運行するLATAMのダイヤが変更になり乗り継げないため予約がキャンセルとなりました。
次に予約したのはKLMで、SCL - AMS (アムステルダム) - NRT / NRT - AMS - EZE (ブエノスアイレス) - SCLというルートです。KLMのwebサイトで予約完了……と思いきや、3日後になぜかキャンセルされてしまいます。KLMではWhatsAppによる対応を受付けているのですが、そこにメッセージを書き込んでも自動応答メッセージが出るだけで音沙汰無し。電話してオペレーターに問い合わせると「帰路のAMS - EZEが欠航になったので予約を取り消した」と説明されたので、帰路を1日ずらしNRT - CDG (パリ) - SCLの便を電話にて予約。ところがその後、最初の予約がなぜか復活して、予約が重複した状態に。再度電話して問い合わせると、「最初のキャンセルはシステム障害のせいだった」とのこと。最初の予約を残し、NRT - CDG - SCLの予約は取消し・返金ということになりました。
航空会社もパンデミック下で混乱している様子が窺えます。

宿泊場所の手配

成田空港の検疫所は、到着日の過去14日以内に「入管法に基づく入国制限対象地域」に滞在歴のある人に対して、14日間の待機を要請しています。待機場所は自宅やホテル等ということですが、自宅は家族への感染リスクを考えるとNG。ということで成田空港近辺のホテルに14泊の予約を入れました。予約の際に電話にて待機場所としての利用が可能ということと、空港から検疫所の巡回バスによって移動できる(公共交通機関を使わずに行ける)ことを確認しました。
なお、ホテルからは待機場所として滞在することを公開しないでほしいと要請されているので、ホテル名は伏せます。

事務とのやり取り

科研費による出張ということで、所属長による許可と、事務手続が発生します。許可は問題ないのですが、科研費による出張のため14日の待機期間は「科研費の目的外利用にならないよう、科研費用務以外の仕事はダメ」と言われます。

分かりました。科研費の研究だけ行い、他のことは一切やりません。

往路

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SCL空港に駐機するKL704便

SCL空港はもちろん空いています。当然エコノミークラスで予約したのですが、AMSまでのKL704便は偶然同僚と乗り合わせ、エコノミーコンフォートの前後配置にアップグレードされました。窓側3列を独り占めでき、横になって眠れます。SCL空港を経ってすぐに、早春のアンデス山脈を眺めることができました。機内食は選択肢がないのは仕方ないですが、夜間にお菓子やペットボトルのパッケージを配ってくれます。

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KL704便の機内

AMSに定刻より早めに到着。国際線乗継ぎでパスポートコントロールも手荷物検査もありませんし、受託手荷物もバゲージスルーで受け取る必要はありません。KLMのラウンジ利用券を購入していたので、感染対策のためシャワーを浴びてさっぱりします。


Illusion clock in the Schiphol Airport

AMSからはKL861便でNRTへ。このフライトも窓側3列を独り占めで横になれます。シベリア上空でオーロラも観ることができ、これまでで最も快適なエコノミークラスのフライトでした。

成田空港での検疫

検疫所によるPCR検査を受けます。まず順番待ちのパイプ椅子にて待機。10名ずつのグループで窓口に誘導され、機内で配られた質問票を渡し、さらに日本滞在中の連絡先などを聞かれ、14日間の待機期間が必要である旨を説明されます。

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成田空港での検疫待機場所。これ以降は写真撮影不可です。

次に唾液採取用の試験管と漏斗を渡され、唾液を採取します。採取ブースには唾液分泌を促すために梅干しとレモンの写真が貼ってあるのが面白いです。試験管を渡してから1 - 2時間ほどで結果が出るということで、別の待合所に誘導され、番号で呼ばれるのを待ちます。幸いにも陰性で、陰性証明書を受け取ります。この陰性証明書は、待機場所への移動や宿泊に必要なものです。

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陰性証明書

入国審査を通り、受託手荷物を受取って税関を通って、晴れて日本入国です。
検疫所の巡回バスは1時間に1本なので、待っている間にスーツケースを自宅へ発送します。